2010年度の「出版物販売額」24年前の水準に 

2010年度の「出版物販売額」24年前の水準に(出版科学研究所調べ)

  出版科学研究所のデータによれば、2010年の取次ルートを経由した出版物の推定販売金額は、前年比3.1%減(減少額608億円)の1兆8748億円で6年連続のマイナスとなった。
 書籍は同3.3%減の8213億円で4年連続、雑誌は同3.0%減の1兆535億円で、98年から連続13年の前年割れとなった。 主要取次が返品減少対策で新刊配本部数を引き締めたため、返品率は同1.6ポイント減の39.0%と大幅に改善した。  2010年の新刊発行点数は、74,714点(前年比4.9%減)と5年ぶりに前年を下回った。うち、取次仕入れ窓口扱いの新刊書は57,804点(前年比5.1%減)、注文扱いの出版物は、16,901点、5.3%増(891点増)となっている。
 書籍の状況は、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社や、『IQ84 BOOK3』(新潮社)など、計五点のミリオンセラーが誕生したが、「売れる本」と「それ以外の本」の二極化か顕著だった。
 文芸書は『IQ84』以外目立つ銘柄がなく、不振に終わったが、『もしドラ』の影響で関連書が好調だったビジネス書や、『たった1分で人生が変わる片付けの習慣』(中経出版)などの自己啓発書は堅調だった。
 雑誌は、月刊誌の推定販売金額は、同2.4%減の8242億円、週刊誌は同5.2%減の2293億円。全体の推定販売部数は、同4.3%減の21億7222万冊(月刊誌は同3.7%減の14億6094万冊。週刊誌は同5.6%減の7億1128万冊)。過去最大のマイナス幅を記録した09年(前年比6.9%減)よりは、やや持ち直したといえる。
(出所:『新文化』2011年1月27日号)