地球の体温をはかる-サイラス・ベント号の太平洋航海記-

 ■ 2007年4月発行  

地球の体温をはかる

-サイラス・ベント号の太平洋航海記-

中陣 隆夫 著

出版メディアパル・オンライン書店

 今年は,世界的な暖冬で,地球に異変が起こっている.ヒマラヤの積雪量が赤道の貿易風に影響しエル・ニーニョ現象を引起す.南極大陸の氷が解け出し,氷河6キロ下の底氷が溶け出し温泉湖が発見されたという.本書は学術書編集者の著者が,学生時代の航海日誌をもとに綴った日米共同太平洋深海底の探査記録である.
 1960~1970年代は海底拡大説からプレートテクトニクスに至る「新しい地球観」成立のときだったのだ。そして,地球内部から出てくる熱は、この大革命を進める上での一つの要となる情報だった。 
 科学者たちは船上でどんな議論をし,どんな観測をしていたか,彼らの食事,船上生活など,米国海軍観測船の生活記録を写真・図版100枚でも示す.

◎おもな目次から

序文:上田誠也一部:浪人・予備校時代/1章;三八豪雪とポストの受験票/2章;予備校研数学館/3章;(矢野健太郎の講義),禅寺の数学教師(岡潔の講演),鎌田茂雄のハガキ二部:大学教養時代/4章;学習塾の教師(大川周明の学習塾)/5章;湘南校舎の想い出(秋月康夫の講義)茅誠司先生と寺田寅彦三部:大学専門時代 6章;三保本町の下宿(フォッサ・マグナの学会)/7章;ヒート・フロー航海の前夜四部:地球の体温をはかる航海/8章;ハント号の航海(米国海軍海洋研究所,ウエゲマンさん,安井先生の船上講義/9章;サイラス・ベント号の航海(スクリップス海洋研究所ラッフ先生,テキサスA&M大学の)/10章;東海大学丸二世の駿河湾航海/11章;ヒート・フロー観測のまとめ,ケッペン先生とウエゲナーの大陸移動説/卒業研究と発表そして就職/12章;就職活動と卒業研究/13章;卒業と就職

発行元:丸源書店  発行:2007年4月上旬  本体価格:1800円・240頁

 ◎ 編集室だより

 本書は、海底での体温測定から大陸移動説をよむ『日米科学者の船上日誌』である。本書の著者、中陣隆夫氏は、元・東海大学出版会で活躍されてきた。定年後、丸源書店を設立され、その第一弾として発行されたのが本書である(発売元:出版メディアパル)。
 中陣さんとは、日本出版学会での活動を通じて交流してきたが、専攻が「地質学」であったことは、本書で始めて知った。出版人・中陣隆夫氏の意外な一面が面白い。第二弾は、ぜひ、多くの論文がある「中陣隆夫の出版学」を刊行していただきたいと願っている。
 本書の各章ごとの「参考文献」が、中陣さん青春の記録でもある。とにかく、そのものすごい読書欲とその記録性に感服する。自分史を書きたい方々にお勧めの一冊である。 

出版メディアパル編集長/下村昭夫

 
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