★2010年6月発行
本の未来を考える=出版メディアパルシリーズNo.18
『出版営業ハンドブック〈基礎編〉』 =出版社のための本を売る知識と販売戦略
岡部一郎著
出版メディアパル・オンライン書店
日本には4000社を超える出版社があり、その年間総売上高はおよそ1兆9000億円(2009年度)、アメリカに次ぐ世界第2位の出版大国ですが、一方で、大手50社で総売上高の7割を超えるという寡占化の著しい業界です。 その多くが中小出版社であるという点が、他産業に比較して、出版業界の特徴といえます。これにはいくつかの理由がありますが、概ね次の3点に集約されるのではないかと思われます。 その一つは、多額の設備投資を必要としない、企画力で成り立つ業態であり、電話と人さえいればビジネスが出来、比較的簡単に始められること。 そして、次の理由として考えられるのが、対象となる1点1点の商品が常に新商品であり、読者の価値観や趣味性に左右されやすく、経営が安定しないことがあげられます。 出版社の大半が中小出版社ではあるが、講談社、小学館、集英社などのように年間売上が1000億円を超える出版社もあり、あらゆる読者、あらゆるジャンルを対象とした出版活動の可能性は無限ともいえます。 その出版社の80%が東京に集中しているのも、出版業界の特徴といえます。 近年はDTPの普及や、インターネットを利用したWeb配信など、個人のレベルで出版事業に参入できるチャンスもでてきております。 一方、「読者離れ」とか「出版不況」といわれるようになって久しい。それを証明するかのように、1996年以降、出版業界全体の販売額は、前年実績を割り込む状況が続いております。趣味の多様化、テレビゲームや携帯電話の影響、インターネットの普及、新古書店の台頭、などなどその原因はいろいろ考えられます。 しかし、それを嘆いていても何も問題の解決にはなりません。「出版不況」といわれる中にあっても、毎年、必ずミリオンセラーは生まれています。この事実を私たち出版人は今一度考えてみる必要があります。 本書では、プロとして出版事業に参加している人にとって必要な、基礎的な知識や考え方について、実際の業務に沿ったかたちで解説していきます。 読者の皆さんは、本書の内容と自社の例を比較しながら、日々の業務に役立てて頂ければ幸いです。そして、一つ一つの実践を積み重ねながら、さらに深い知識と経験を身につけてくださることを期待いたします。
<編集室だより> 元・大手出版社の営業の最前線で活躍しておられた岡部一郎さんは、定年後、出版企画研究所を設立され、出版プロジュースの仕事で活躍されている。その岡部さんが、書店時代や出版社の営業時代に身につけた出版マーケティングの手法を生かし、2006年に、『出版人のための出版業務ハンドブック〈基礎編〉』を出版企画研究所から発行され、業界に新鮮な「風」を吹かせ、出版ビジネススクールなどで、電撃的なデビューをされたのは印象的であった。本書はそのリニューアル版である2008年に出版された『出版人のための出版営業ハンドブック〈実践編〉』(発売元:出版メディアパル)もあわせてお読みいただければ幸いです。
発売予定:6月上旬 A5判・112ページ 定価:本体価格1,200円+税
|
|