「編集者の誕生と変遷」

● 出版メディアパル
5月の新刊案内(5月12日発売)

編集者の誕生と変遷

―プロフェッションとしての編集者論―

文 ヨンジュ(Moon Youn Ju) 著

A5判・288ページ 定価:本体価格2,400円+税
 ISBN 978-4-902251-62-3

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 本書はプロフェッションという物差しをもって編集者の職業の誕生と変遷を研究している。 編集者とは「編集活動」を日常的な「職業活動」として営む「職業人」であり、編集者という職業を総合的に検討することは、編集者の社会的役割と機能を理解することにつながると期待されるからである。 本論では、出版業が成立してから、編集者がひとつの独立した職業として確立してきた経過を歴史的に検討するとともに、専門的職業化の主要要素を日本の書籍出版編集者の状況に照らしながら検討することによって、書籍出版編集者が置かれている構造的特性を検証する。 本書は筆者の博士論文(2004年、上智大学大学院文学研究科新聞学専攻)に修正・加筆を行ったものである。既に執筆から10余年を経過しているが、読者のお役に立てば幸いである。


 ◇ 週刊読書人社長 植田康夫氏の推薦の言葉 
 文ヨンジュさんは、私が上智大学文学部新聞学科の大学院で教えていたときの留学生で指導教授を努めた。その文さんの博士論文が、『編集者の誕生と変遷』という題名で単行本になることを大変うれしく思っている。
 韓国語版は『編集者の誕生』と題して、既に刊行されているが、ご本人は、日本語版の刊行は「嬉しい贈り物となった」と本書の“はじめに”に書いている。
 しかし、この言葉は、私たち自身の言葉でもある。と言うのは、文さんがこの本で試み、本の副題としている「プロフェッションとしての編集者論」は、これまでの日本には無かったものだからである。
 著者が“はじめに”で書いているように日本では、「経験主義や現場主義の色が強い」ため、編集という仕事を理論的に論じることをしなかった。そのような風潮に対して、文さんは、職業社会学とりわけプロフェッションの社会学におけるプロフェッション、専門的職業化というキーワードを用いて「編集者」が「編集活動」を日常的な「職業活動」として営む「職業人」であることを理論化した。その画期的な試みが本になったことを、かつての指導教授として共に喜びたい。
 本書が、若い編集者に読まれ、座右の書となることを願っている。


◇ ◇ 主な目次  

 第1章 編集者論の新しい試み
 第2章 プロフェッション編集者の理論的背景
 第3章 書籍編集者の誕生
 第4章 出版関連団体が果たした役割
 第5章 編集者教育の現状と課題
 第6章 明日の出版のために