校正のレッスン〈改訂2版〉 |
● 出版メディアパルNo.27:5月30日発売 校正のレッスン〈改訂2版〉 大西 寿男著 A5判・160ページ 定価:本体価格1,600円+税ISBN 978-4-902251-27-2 本書のオリジナル版は、2011年6月であるが、初版発行と同時に出版クラブでの「校正講座」が始まり、多くの受講生から、受けた質問などを踏まえ、より初心者にお役に立つ内容を加え、改訂2版を発行するものです。 20世紀から21世紀をむかえ、私たちはいま、出版のデジタル化という大きな変革の時代に生きています。それは、たんに技術がコンピュータ化されただけではなく、また、電子書籍が実用化されてきただけでもありません。5000年にわたる本の歴史のなかで初めて、だれもが容易にじぶん自身の言葉を発信できるようになったのです。 たとえば、DTPの進化と普及は、家庭用のパソコンとプリンタで、美しく安価に文書を作成することを実現しました。それはまた、印刷所しか持ちえなかった活字や写植文字を、デジタルフォントとして私たちが、あたりまえに使えるようになった、ということでもあります。 アナログ時代の出版が意味していたものは、草の根からの一人ひとりの自己表現というよりも、上から下へのマス・メディアを具現する情報システムが出版の大きな存在意義でした。 いま、私たちは「編集の時代」に生きているといえます。発信したい情報の表現をどう工夫すれば効果的か、より相手に伝えることができるか、さまざまにこころを砕きます。どんなにだいじな情報でも、受け手に届かなければ意味がありません。 「編集の時代」、それは、何かを発信したい人にとって、相手をじぶんのサイドにできるだけ多くとりこもうとする努力への傾倒でもあります。そのこと自体、まちがっていたとはおもえません。情報に価値があれば魅せ方など必要ない、という発想は過去のものとなりました。 本書は、出版をめぐるこの劇的な変化の時代に、私たちはどんなふうに言葉とつきあえばいいのかを、「校正の現場」から提言します。校正の現場とは、つまり、言葉を発信する人とそれを受けとる人とのあいだに立ち、言葉そのものに寄り添いながら、相手の言葉にどう耳を傾けるか…。何を返事するのか・という対話をうながし深める、実体験の場です。 校正の技もこころも、校正を仕事とするプロフェッショナルの専売特許ではありません。だれもが発言・発信できる、この稀有で冒険に満ちた時代にあって、言葉や自己表現のやりとりが、一方的なものでなく、たがいにしあわせなものになりうるのか、その実践を「校正」という仕事を通して感じ取っていただければ、と願ってやみません。 2014年4月 大西寿男 発売予定:5月上旬
<編集室だより> 出版メディアパル編集長 下村昭夫 |