◎ 出版学のススメ
書店実務学入門
『書店員の実務教育読本 』 (1)本と読者をつなぐ知恵+(2)書店員の実務教育
能勢 仁
出版メディアパル・オンライン書店

業界は著者―出版社―取次―書店―読者の存在によって成り立っている。この図式は出版産業が成立して以来変わらない。 わかりやすく見れば、書く人、作る人、卸す人、売る人、読む人の役割、仕事の分担が明確である。 現状の不景気と出版点数のアンバランスは、役割に異変がおきているからである。つまり書き手の急増に対して、読み手の減少が指摘できる。 中でも読者の変質は激しい。業界の中枢である、出版社―取次―書店の関係の中で、本の渡し手である書店に大きな変化をもたらした。 日本書店商業組合連合会加盟店の数を見れば一目瞭然である。1997年は10,629店であったものが、2007年には6,330店になってしまっている。減少率は59.5%である。 書店業不成立の環境になったために廃業店が続出したのである。しかし一方で、成長している書店のあることも事実である。これを矛盾ととるか合理ととるかは判断の分かれるところである。 成長書店、あるいは生き残り書店は読者の変質をとらえ、その変化に対応している。活字読者たる近代読者と、エンターテインメント中心の読者の現代読者を使い分けして対応している。複合化書店の成長はその証であり、一方超大型化された売場面積にフルラインで商品構成された書店が勝ち残っている現状である。 成長書店の要因が社会のトレンドを掴んだ対応であったことは前述した。これは、その書店が常に外に目を向けていることの証である。この成長書店で忘れてならないことは、社内にも目を向けていたことである。つまり教育重視の書店が今生き残っている。 企業は人材ということは誰しもわかっている。しかし社員教育を書店業界では軽視していないだろうか。一言で言えば書店が勉強しなくなったことが、勝ち組と負け組を作ったのである。 特に、書店に入社して右も左もわからない人に何も教育しないのでは、店が伸びるはずがない。業界の先頭を走る書店は必ず社員教育、中でも新人教育を実施している。これはやる気をおこさせる教育であり、これからの書店人生に勇気と活力を与えるものである。 本書が貴店の発展の礎になれば幸いである。
発行予定:2008年5月上旬 定価(本体価格2400円+税)(2分冊セット価、分冊不可)
本書は、2005年4月に復刻した『本と読者をつなぐ知恵』の新装版に新しく書き起こした『書店員の実務教育』を増補し、二分冊セットでお贈りする『書店員の実務教育読本』である。 書店の未来を考え続けてきた能勢仁氏が、そのノウハウを余すこと紹介した「書店再生への道」。書店員の教育なくして、書店の未来はない。
出版メディアパル編集長/下村昭夫
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