「電子出版学入門―出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ―〈改訂2版〉」 湯浅俊彦 著

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電子出版学入門〈改訂2版〉
―出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ ―

湯浅 俊彦著

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   昨年の5月に本書の初版本を発行しました。お蔭様で読者各位から好評で、一年を待たず重版の通知をいただきましたが、この1年、iPadの登場で、すっかり電子出版を巡る出版環境が激変してしまいました。
 そこで、産業データなどを一新するとともにiPadやキンドルなど新しい電子書籍情報端末の状況などを加え、改訂2版を発行することにいたしました。
 「出版=紙」がこれまでの常識でした。私たちがふだん見慣れている本や雑誌は紙に印刷され、製本され、私たちはそれを好きなときに読むことができます。書店に行くと紙の本や雑誌がまさに山のように積まれ、私たちはその中から好きな本を探して、買うことができるのです。
 また図書館に行くと書店では置いていないような古い時代に刊行された本や雑誌でも手にとってみることが可能です。
 ところがいつの頃からか「出版=紙」とも限らない状況が出現してきました。例えばCD-ROMという形態で発行された辞典が登場し、パソコンの画面で検索するといった使い方が可能になり、「電子ブック」や、電子辞書と呼ばれる情報家電も発売されました。
 さらにインターネットの普及によって、パソコンで古典的な文学作品が無料で読むことができたり、電子書籍やデジタル雑誌と呼ばれる商品を購入できたりするようになりました。そして今日ではいつでもどこでもケータイで小説やマンガを読み、写真集を見ることができるようになったのです。
 このような出版の世界に起こった変化について考えるのがこの本の目的です。デジタル化とネットワーク化を特徴とする今日のメディア社会の中にあって、出版の変化は何をもたらそうとしているのでしょうか。
 電子出版とはいったいどういうものであり、どのような歴史をもち、どのようなしくみになっているのか。
 著者や読者、出版社や書店はいったいどうなっていくのか。そして人類の知識の伝承や保存はどうなってしまうのか。そのことを考えるためにこの本が役に立つことができたら本当にうれしく思います。

■ 本書の主な目次
第1章 電子出版学とは何か
第2章 電子出版の歴史
第3章 さまざまなネット情報源
第4章 ケータイ読書の進展
第5章 電子出版物の生産・流通・利用
第6章 電子出版の諸問題
第7章 新しいデバイスと図書館
発売予定:9月上旬
A5判・128ページ
定価:本体価格1,200円+税

● 編集室から

 旭屋書店の外商部員から、夙川学院短期大学の准教授へ。華麗なる変身を遂げた湯浅俊彦さんの活動は幅広い。日本出版学会理事、日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長などと出版研究の最前線で活動されている。
 著書に『書店論ノート~本・読者・書店を考える』『「言葉狩り」と出版の自由~出版現場から』『デジタル時代の出版メディア』『日本の出版流通における書誌情報・物流情報のデジタル化とその歴史的意義』などがあり、その見識の幅広さを物語っている。
 本書は、出版メディアに関心をもつ若い人たちのための入門書として発行したが、出版現場で、日夜、情報のデジタル化で苦労されている編集者の皆さんに、お読みいただければ幸いである。

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