ようこそJCJ出版部会へ

◎ 今月の出版メディアパル
二月堂のお水取りが始まりました。春の到来です。。
 出版メディアパル編集長 下村昭夫

■ 2008年2月の旅日記

2月6日(水)
 能勢事務所の能勢 仁先生と打ち合わせ。4月に発行する『書店員の実務教育読本』のお原稿をいただく。能勢さんは、現在、書店クリニックと称して、全国の書店さんのコンサルタントや社員教育を実施されている。
 4月に発行する『書店員の実務教育読本』は、2005年4月に復刻した能勢さんの代表作『新装版/本と読者をつなぐ知恵』に『書店員の実務教育』を新たに執筆し、ケース入りの二分冊教本として、書店での実務教育にお役に立てばと発行するバイブル的実務書である。
 読者ニーズを満たす書店のあり方を考え続けた先輩・書店人から、書店の未来を担う若い書店人への「本を売るためのノウハウ」と豊かな経験が本書には満載されている。
 早速、本文の章扉のイラストをアトリエ渋谷に依頼。渋谷栄造さんは、オーム社時代から、50年も一緒に「本づくり」をしてきた名コンビである。私の「本づくり」を支えてくれるなくてはならないパートナー的存在のデザイナーである。

2月8日(金)
 2006年度の日本出版学会・奨励賞を受賞した『出版産業の変遷と書籍出版流通』(2006年10月刊行)の重版出来を祝い、執筆者の蔡星慧(チェソンヘ)先生と懇談。
 蔡さんは、いま、上智短期大学や東京情報大学で「出版学」を教える傍ら、昨年は、韓国ドラマでお馴染みの「朱蒙(チュモン)」を舘野あきら先生と翻訳するなど、大活躍の出版研究家である。
 日韓の出版交流の場では、通訳としても大活躍。日本と韓国の出版交流の懸け橋としてなくては重要な役割を果たしておられる。2008年ソウルで開催される日中韓三国の日本出版学会・編輯学会の交流の場である「国際出版フォーラム」でも通訳とした参加される予定。

2月12日(火)
 2007年4月に発行した『編集デザイン入門』の著者・荒瀬光治と懇談。
 4月に発行する『韓国の出版事情ガイド』と『書店員の実務教育読本』のケース・デザインを依頼する。
 荒瀬さんは、本の装幀や雑誌の紙面レイアウトの専門家。デザイン事務所「あむ」の主宰である。
 日常のお仕事の傍ら、日本ジャーナリスト専門学校で、本づくの基本とデザインを教育。次世代への熱い想いを一冊の本にまとめていただいたのが『編集デザイン入門』である。
 デザインが出来上がるのが、楽しみである。

 同日夜。JCJ出版部会の世話人会に参加、4月19日に予定されている総会の準備並びに記念講演などの「テーマ」を議論した。
 記念講演(4月例会)は、文化通信社の星野渉出版部長に依頼を決定。後日、メールにて「快諾」を得た。

2月19日(火)
 ヒューマンバリューの堀田恵美さんと御宮知香織さんのお二人がご来社。実は、お二人は、昨年秋の日本エディタースクールの「夜間講座」の受講生。なぜか、「一人出版社・メディアパル」に興味を待たれてのご来社。会社は、外資系のコンサルタント会社、社員総数17人のうち、お二人だけでその出版部門を担当しているとか…。
 堀田さんの方は、先月、アメリカで開かれた「出版社の戦略会議」に参加、その報告を兼ねてのご来社であった。
 以下、堀田さんの国際会議参加の感想をご紹介しよう。
 「おかげさまで、会議では大変に有意義な時間を過ごすことができました。 会議は大変に興味深く、21名の出版社の社員意外に、著者、読者、株主、出版業界の関係者、メディアと社会変革に取り組む活動家、サプライヤー・サービスプロバイダーの方、合計77名が集まりました。 日本以外にも韓国、イギリス、スペイン、ドイツから出版に関わるかたが集まり、 現在の動向について話し合い、今後その出版社がどのような位置づけに変わっていくのか検討しました。」
 堀田さんのように、「英語力」を武器に国際的な出版活動をする若い編集者が育っていくことは嬉しい限りである。

2月20日(水)
 3月発行の『電子編集入門―編集者のためのsed活用術』の出張校正。この本は、「Indesign」で組む三冊目の本。組版の仕上げを日本出版学会の事務局員でもあるキープニューの新保秀樹さんにサポートをお願いした。
 著者の浦山毅先生も、休暇をとっての「大詰めの作業」、5時前には、無事終える。6時には、平河工業社の本庄さんに入稿する。
 浦山さんは、元・共立出版のコンピュータ・サイエンス誌「bit(ビット)」の編集長。昨年から、東京電機大学出版局に勤務するベテラン編集者。
 『電子編集入門―編集者のためのsed活用術 』は、その浦山さんが「sed(セド)」と呼ばれるフリー・ソフトに出会ってから、その便利さに共鳴、原稿整理になくてはならない「スキル」を完成させた。その20年間の「電子編集のノウハウ」を惜しみなく、披露してくれた実務書である。3月6日配本を予定している。

 同日、2004年に復刻した『新装版/棚の生理学』の重版原稿を入稿。 上記の『電子編集入門 』を同日の入荷を予定している。
 両書とも、印刷製本は、平河工業社に依頼しているが、オリジナル本にあたる「電子編集入門 」は、フィルムレスの「CTP(コンピュータ・ツゥ・プレート)印刷」。「棚の生理学」は、刷本を利用した「ダイレクト印刷」と手法は変わる。
 いずれも「小部数・低コスト印刷」の最新技法である。

  2月22日(金)
 先月発売となった、『ビギナーのためのInDesignCS3入門』をテキストにした出版ビジネススクールの「ビギナーのためのInDesignCS3入門」セミナーを開催。
 講師は、もちろん、執筆者の高田信夫先生である。高田さんは、元・大修館の教科書編集者、お父上の設立された高陵社に勤務変え、現在、高陵社の社長。編集者15年、出版社(兼ねプロダクション)の運営15年のベテラン編集者である。
 教科書編集で培われた正確な編集手法とこの15年間毎日、改良を積み重ねてきた「DTP技法」の基本テクニックを披露してくれた。
 この講座、前著の「編集者のためのInDesign入門」の発行以来5回目、延べ150人の受講生が「InDesign」の手ほどきを受けた。
 次回講座は、秋(9月または10月)に開催予定である。

 出版メディアパルの本は、下記の「出版メディアパルオンライン書店」から、ご注文いただけます。
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2月23日(土)
 日本出版学会「35年史編集委員会」の打ち合わせ(文化通信社)。昨年の2月から、準備を開始、やっと基本的な「校正」が出始めた。日本出版学会の35年をたどる「編集作業」は大変な調査の積み重ねとなった。定期的に発行されてきた「会報」と機関誌『出版研究』に公表されてきた重要論文を収録することになる。
 一部、業界誌の『出版ニュース』に掲載されてきた「10周年記念論文」「30周年記念論文」なども収録することになる。
 ここまでの作業は、編集委員長となった星野渉さん(文化通信社・出版部長)の牽引力のお陰、これから1ヶ月、日本出版学会・総会がハイ際される4月26日発行に向け、「校正・校閲」と大詰めの作業が続くことになる。

2月26日(火)
 日本出版学会「出版編集技術研究部会に久しぶりに参加。
 テーマは、昨年の秋に、新潮社110周年記念出版として刊行された「新潮日本語漢字辞典」(新潮社編)を10年がかりで編纂された小駒勝美 氏(新潮社図書編集室勤務,日本出版学会会員)の「『新潮日本語漢字辞典』を編集して」という報告。
 小駒氏は,子供の頃から、自分でノート二冊分ほどの「漢字辞典」を作ったというほど漢字に関心が深い校正者。
 この辞典は、自らの校正者としての「体験」を生かして,従来の漢和辞典と異なる「日本語の文章を読み書きするための初めての本格的な漢字辞典」として企画し、10年前に会社に提案。
 その後、10年がかりで自らが「編集・執筆」されたという辞典。その体験に基づいて,裏話には「漢字に魅せられた校正者の魂」を感じました。

2月29日(金)
 先月開催された上智大学教授・植田康夫先生(日本出版学会・会長)の最終講義『エディターシップによる「知」の創生』のブックレット版発行の具体化のため、蔡星慧さんと二人で、神楽坂の「週刊読書人」近くで植田先生と打ち合わせた。
 このブックレットは、当日の講演レジメを骨格にして、「上智時代の思い出」「出版人はpublishの精神で」「編集者論」などの補足資料を基に、当日の講演記録として、再構築した。
 すでに、当日の講義録として、日本マス・コミュニケーション学会の機関紙に掲載される予定の「講義録(録音起こし原稿)」と植田先生を送る会編集のブックレット版「講義録」の二冊が同時進行で進むことになる。
 二冊とも、4月26日の日本出版学会・総会当日には、参加者に配布される予定なので、読者の皆さんは二つの「講義録」を楽しめることになる。  いずれにしてもその内容、「書評活動」を中心とする植田流「出版学」を「心と編集者論」をコンパクトにまとめた感銘深いブックレットになるものと出来上がりが楽しみな小冊子である。
 これから、「出版学」を学ぶ若い皆さんへの取って置きのプレゼントになれば幸いである。


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