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◎ 今月のプログラム
 出版メディアパル通信

〈ふるさとと二つの講座〉

『関西出版技術講座』&『日本出版学会・関西部会』

Book・Book・Book
本づくりの心と技を求めて
出版メディアパル編集長 下村昭夫


   人と本との出会いは、不思議な物語を形成することがある。そんな「想い出の本」が、読者の皆さんの「心の本棚」の片隅にも、きっとあるに違いない。時には、それは、お母さんに読んでもらった童話であったり、先生が読み聞かせてくれた冒険物語であったり、お誕生日にもらった詩集であったりする。
 私と本との出会いは、小学生の頃、ふるさと大阪で通った「そろばん塾」での貸し本であった。「小公子」「怪盗ルパン」「三銃士」など、夢中で読み耽った。不思議と絵本の記憶がない。漫画本は、専ら「少年雑誌」の連載や付録であった。手塚治虫さんの「鉄腕アトム」や柔道マンガなどに夢中であった。町には他にも貸し本屋さんがあって、たくさんの本を借りて読んだが、近くに図書館があった記憶がない。図書館を利用し始めたのは、高校の学校図書館で、時折り通った天王寺の公立図書館は歩くと1時間近くかかった。
 さて、高校の電気科を卒業した私は、大学の物理学教室で働いていたが、ふとしたきっかけで、高校時代に愛読していた専門誌の編集に携わることとなった。19歳の旅立ちは、ふるさとから東京への単身の旅立ちでもあった。
 編集の世界に、飛び込むことができたのは、高校時代「学校新聞」の編集部に1年ほど在籍し、編集の真似事を聞きかじっていたからかもしれない。あるいはテレビ時代の影響で、「事件記者」などの番組の影響を受けたせいかもしれない。以来41年間、その専門出版社を2002年11月に「定年退職」となり、編集者生活に一応ピリオドを打った。
 退職と同時に、出版メディアパルを設立し、出版学会や出版労連の「本の学校=出版技術講座」の運営の中で考えてきた「出版研究」を続けるために、「本の未来を考える=出版メディアパル」シリーズを発行しながら、この6年間「出版への夢をはぐくむ」ことで新たな編集生活を過してきた。
 そして多くの読者の皆さんと「本への想い」共有し、15冊の「本の未来を考える=出版メディアパルシリーズと「出版実務学シリーズを発行しながら「出版の未来」を考えてきた。

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 さて、定年の年、2002年に「関西出版技術講座」で現役最後の「さよなら講演」をしてから、6年ぶりに「関西出版技術講座」に出向くことになった。  東京の「出版技術講座」は今年で28年目、3,000人もの受講生が出版労連主催の「本の学校=出版技術講座」を巣立って行った。
 一方、「関西出版技術講座」は、今年で、20年目になるが、通算16回目の講座である。最近は、出版ネッツ関西の方々を中心に「DTP講座」など最新の技術とスキルアップを目指す講座が多かったので、「本づくりの基礎講座」は久しぶりの開催となる。
 テキスト「本づくりこれだけは」は、講座25年の経験をまとめたもの。本づくりの「心と技」をふるさとの皆さんにお聞きいただければ幸いである、
 下記のページから、応募要綱がダウンロードできるので、ご覧いただければ、幸いである。

 日時:9月20日(土)10時〜17時
 会場:「ドーンセンター」
 「関西出版技術講座」応募要綱

 もう一つ、前日の9月19日(金)の夜に日本出版学会・関西部会で「出版の近未来」を講演する。
 こちらの方は、産業分析グラフをご覧にいただきながら「出版の現状と課題」を考える研究発表会である。
東京ブックフェアでも好評のこのリポート、ぜひ、足をお運びいただければ幸いである。

  日時:9月19日(金)18時30分〜20時30分
  会場:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1401 号室
 「日本出版学会・関西部会」応募要綱

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 この二つの講座、1961年10月に大阪から東京に移り住み、ふるさとでの出版活動のチャンスをなくした私の「ふるさとへのご恩返し」でもある。出版に興味のある方なら、どなたでも参加可能の両講座、多くの人との出会いが楽しみである。


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