4.8 著作権法と特許法
花 子 | 特許法と著作権法の大きな違いは何なの? |
太 郎 | 著作権法では、「思想又は感情を創作的に表した表現物」が保護されるのに対し、特許法や実用新案法では「発明や考案」が保護されることと、著作権法の保護では、「公表された著作物」は保護の対象になるが、特許法では、一定の手続きを経て、特許庁に出願され、登録されたものだけが保護の対象になる点が大きな違いといえるね。 |
花 子 | 出願したものは、全部「登録」されるの? |
太 郎 | そんなに甘くないのが特許の世界で、発明は、「自然法則を利用して高度な問題を解決した創作的な発明」となっており、創作的な思想で、しかも「新規性や進歩性」を兼ね備えたものでなければならないんだよ。 |
花 子 | つまり、誰でも知っているようなアイデアでは、特許はとれないということね。 |
太 郎 | その通りだよ。登録前に周知しているアイデアは発明に当たらないということだよ。 |
花 子 | それでは、話題のビジネスモデル特許というのはどうなるの? |
太 郎 | ビジネスモデル特許も同じように、単に新しいビジネスを考えたという程度では、特許の対象ではなく、コンピュータやインターネットなどのIT技術を駆使して新しいビジネスの方法を可能にしたソフトウエア関連の発明に対する特許といえるね。 |
花 子 | どんなものがビジネスモデル特許になっているの? |
太 郎 | インターネット上の「逆オークション」などが有名だね。日本で最初のビジネスモデル特許は、凸版印刷の「マピオン特許」といわれる特許で、「広告情報の供給およびその登録」に与えられたもので、インターネット上の地図の中にあるアイコンをクッリクすることで、ユーザーは知りたい情報が得られ、クライアント側は、その地図上にいつでも新たな情報を提供することができるシステムだよ。 |
花 子 | 前にもアマゾン・コムドットの「ワンクリック注文方式」のことを紹介したわね。 |
太 郎 | そのアマゾン・コムが日本にも上陸したわけだが、日本の特許庁は、アマゾン・コムの特許に対して、「拒絶審査」しており、アメリカの特許がいきなり日本のサイトビジネスに影響することは当面ないといえるね。 |
花 子 | それはどうしてなの? |
太 郎 | 専門的なことはわからないが、インターネットビジネスでは、結構、その「アマゾン・コムのようなのワンクリック方式」が一般化されており、「新規性に問題あり」と日本の特許庁がみているということかな。しかし、アマゾン・コムはアメリカの特許は得ているわけだし、今後、アメリカでの訴訟がどう進むかで、考え方も変わってくると思われるね。 |
花 子 | インターネットに使われているソフトウエアの保護はどうなるの? |
太 郎 | ソフトウエアそのものは、著作権法で保護されており、そのソフトウエアを利用した新しいビジネスは、ビジネスモデル特許で保護されるということだよ |
花 子 | なるほどね。これからは著作権法だけでなく、特許法や実用新案法あるいは不当競争防止法など、知的財産関連法を学ぶ必要があるわけね。 |
©2001年 Shimomura