3.10 マルチメディアと出版
花 子 | 出版関連のマルチメディア産業の規模は、どれくらいあるの? |
太 郎 | 7月に発表された「マルチメディア白書2000」によると、パッケージ系の出版コンテンツのうち、リファレンス系が190億円(対前年比70.6%)、教育・娯楽系が221億円(102.8%)となっており、ノンパッケージ系の出版コンテンツは、3893億円(対前年比111.5%)となっている。 |
花 子 | パッケージ系でリファレンス関連が落ち込んでいるようだけど、なにか原因があるの? |
太 郎 | 98年にリファレンス系ソフトの中心であるCD-ROMを中心とした百科事典関連のソフトがDVD化され、新しい需要が伸び269億円と高調だったことの反動で、買い替え需要が一巡したことが、その主な要因と分析されている。今後各社のビジネスモデルも急速にインターネットモデルに変化するとも予測されている。 |
花 子 | リファレンス系に比べて教育・娯楽系ソフトが順当なのは? |
太 郎 | 2000年から強化された小中高一貫の「情報基礎」の導入と関連して、学習ソフトの学校関連の需要が定着したことが、その要因と分析されており、インターネット関連とともに2001年以降も一定の伸びが期待される分野の一つになっている。 |
花 子 | ノンパッケージ系のほうは、どんな需要が中心なの? |
太 郎 | オンライン系リファレンスやデータベース、電子書籍や占いなどがその中心で、中でもオンライン系リファレンスが全体の五三・九%を占めており、インターネット関連の好調が、ここでもその原動力になっていると見られる。 |
花 子 | 電子書籍というと、「電子ブック」などのパッケージ系が中心と思っていたけど、「電子ブック」の状況はどうなの? |
太 郎 | 「マルチメディア白書」では、96年度版までは、「電子ブック」の項目があり、産業規模で33億円と分析されていたが、それ以降は「統計項目」から外れているので、正確なデータがどこにもなく、最新のデータは発表されていない。 |
花 子 | では、ノンパッケージ系の「電子書籍」というのは何のことなの? |
太 郎 | インターネットを利用したさまざまなサイトが開かれており、「電子書店パピルス」(フジオンライン)には、55社2400点の「電子書籍」が提供されており、月33万人のアクセスがあり、月平均で12500冊ほどの購入があるといわれている。全体の金額は、30億円程度とそれほど多くないが、対前年比で159.3%急成長している。 |
花 子 | iモードの利用も話題の一つね。 |
太 郎 | サービス開始わずか1年半で、7月末の加入者が1000万人を突破する大ヒット商品になったこともあり、春先から講談社や小学館などで、iモードのサービスを開始している。 |
花 子 | 出版産業もインターネットの影響を深く受けているのね。 |
©2000年 Shimomura