渦(出版界の内と外)


3.6  出版流通と取次の役割

花 子取次は、「出版流通の要」とよく言われているわね。ほかの産業では、一般に、問屋さんと呼ばれるけどどうしてなの?
太 郎出版社と小売書店の中間に位置し、書籍や雑誌をなどの卸売を営む販売会社の事を取次と呼ぶが、商品を卸す機能よりも取り次ぐ機能が強かったところから、取次店という呼称が定着したんだよ。現在、日本出版販売取次協会に加盟している取次店は44社といわれている。
花 子どれくらいの量を取り扱っているの?
太 郎前にも話したように、全出版物の約七割は、取次―書店ルートを通して読者に届けられるんだが、一年間の新刊点数が66000点(新刊発行部数4億3690万冊)とすると、休日を除く一日当たりの出版点数は230点にもなり、雑誌のほうは、一日当たり120点(総発行点数3359点)もの銘柄が発行されているんだよ。
花 子すごい量ね。その全部が書店に配本されるの?
太 郎すべての銘柄を同じように配本するのは、むずかしいことだね。一般的には、書店の実情に合うようにくふうされたデータに基づき、適正量が配本されるようになっている。コンピュータのデータを駆使して、配本されるところから、コンピュータ配本などと呼ばれている。
花 子本の物流を扱うほかには、どんな機能があるの?
太 郎色々な役割・機能があるが、「出版社から見れば販売の代行を果たし、書店から見れば仕入れ代行機関としての役割を果たす商的流通機能」。「商品を受け入れ、梱包し、書店などに送品し、返品処理する物流機能」。「書店に代金を請求し、出版社に代金を支払う金融機能」などが基本的な機能で、近年では、「出版物の情報検索、新刊情報、売れ筋情報などを提供する情報流通機能」や「新製品などの開発情報や書店などに対する経営相談などを受け持つコンサルタント機能」などが重視されている。
花 子いろいろな役割があるのね。「出版流通の要」という意味が良くわかったわ。


©1999年 Shimomura