渦(出版界の内と外)


3.2  2000年度雑誌の販売実績

花 子日本で発行されている雑誌の数はどれくらいあるの?
太 郎出版科学研究所の資料によると、2000年の実績では、雑誌トータルで3433点(発行部数46億2139万冊)、月刊誌が3336点(同29億6322万冊)、週刊誌が97点(同16億5807万冊)となっており、発行金額が雑誌トータルで2兆61億円(平均定価434円)、月刊誌が1兆5518億円(同524円)、週刊誌が4543億円(同274円)となっているね。
花 子すごい量だわね。昨年の販売実績はどんな状況だったの?
太 郎雑誌トータルで対前年比で2.8%減の1兆4260億円で、3年続きのマイナス成長になった。月刊誌が2.1%減の1兆736億円、週刊誌が4.9%減の3524億円となっている。
 月刊誌は、定期雑誌が振るわず、それをMOOKや増刊・別冊で補おうとしているが、その不定期号の発行が、また、定期雑誌の売上げの足を引っ張るという皮肉な結果になっている。

◎ 「出版月報/2001年1月号」(出版科学研究所)のデータをExcelで描いたもの(データの詳細
(図をクリックすると、拡大して見られます)
花 子大変な状況ね。そのうち、返品はどれくらいあるの?
太 郎雑誌トータルで前年比0.7%減の28.9%、月刊誌が1.3%減の30.8%、週刊誌が1.3%増の22.4%というところだね。
 ここ2年間で、送品実績で10%の送品数の規制を強化し、やや返品数は減ったとはいえ、月刊誌で30%台の返品率は、決して好ましい状況とはいえず、改善の課題は依然として業界の課題といえる。
花 子送品を押さえても雑誌の返品率が下がらないということは、雑誌があきられてきたということなのかな。
太 郎雑誌成長の構造が、大きな曲がり角であることは事実だね。長引く不況感から、日常的に購読する雑誌まで、“買い控える”という読者の倹約意識の現れと見られており、加えて、新雑誌の販売不振と既存誌やムックなどの低迷が、雑誌全体の不振につながっているといわれている。
花 子雑誌広告の状況は、どうなの?
太 郎'95年以降、比較的順調だった雑誌の入り広告は、'98年以降は、前年比を下回り、出版社は、「販売収入の減少と、広告収入の減少」の二重パンチを受けてきたが、昨年は、入り広告がやや順調だったこともあり、創刊数は対前年比で37点増の209点と4年ぶりで200点台に増大、休刊誌は8点減の135点となっており、「太陽」「アサヒグラフ」などの老舗の雑誌や「Olive」「Bart」「日経MAC」など不採算誌の撤退や価格改定などの動きが出てきている。
花 子ところで、雑誌はなぜ“マガジン”というの?
太 郎英語の辞書を引いてみて。本来の意味は「弾薬庫、火薬庫、倉庫」といい、これが転じて「知識の宝庫」という意味になったんだよ。雑誌の起源は1665年にパリで発行された「ジェルナール・デ・サバン」やロンドンで発行された「王立学士院会報」で、日本では1867年(慶応三年)の「西洋雑誌」がルーツだね。


補足資料(図表データの詳細)

雑誌トータル月 刊 誌週 刊 誌
8911,9168,5553,360
9012,6389,0693,569
9113,3419,5243,817
9213,92310,0663,857
9314,86610,8284,038
9415,05011,0933,957
9515,42711,3524,075
9615,63311,6923,940
9715,64411,6993,945
9815,31511,4153,900
9914,67110,9643,706
200014,260107363,524


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