2.4 ワールドカップとデータ伝送
花 子 | ワールドカップの写真集、買ったわ。 |
太 郎 | どれ、見せてもらえるかな。 |
花 子 | 日本が出場した試合の写真が、三日後には、週刊誌などに掲載されていたけど、なぜ、あんなに早く、報道できるのかしら? |
太 郎 | 大日本印刷が行ったワールドカップ向けのサービスには、二通りの方法があってね。 一つは、大日本印刷の「DNP国際伝送ネットワーク」を利用する方法だよ。 |
花 子 | 具体的には、どんな方法で情報を日本へ、送るのかしら。 |
太 郎 | 出版社が独自の取材班やカメラマンをフランスに送った場合には、取材後、パリの大日本印刷の工場で、写真を受け取って、製版用のスキャナで高精度な画像データに分解され、翌日のお昼過ぎには、高速回線を通して、東京の市ヶ谷工場にある専用コンピュータのサーバにデータが蓄積されるんだよ。 |
花 子 | あら、そうすると、次の日の午後には、通常の編集作業で、印刷工程に回せるわけだから、三日後の出版が可能なわけね。 |
太 郎 | もう一つの方法は、フランスのAFP通信社のカメラマンが電子カメラで撮影した映像を即座に日本へ画像データとして送る方法だよ。この方法だと、ハーフタイムには、前半の試合の映像が東京の大日本印刷のコンピュータに送られてくることになる。 |
花 子 | それは、長野オリンピックで、毎日新聞社が、長野と東京本社を結んで、三時には、午前中の試合の号外をオリンピック会場で発行したのと同じ方法でしょう。 |
太 郎 | そうだよ。この方法だと、日本における配信の独占契約を結んだ時事通信社から画像データを得ることになるが、専用のネットワークを使って出版社向けのサービスが可能になるわけだよ。 |
花 子 | 技術革新のお陰で、取材の方法も激変しているのね。 |
太 郎 | 取材の方法が変わったとしても、人を感動させるのは、選手の好プレーであり、その決定的瞬間を捉えるカメラマンの眼であること には、変わりがないのだよ。 |
©1998年 Shimomura