出版メディアパル(Murapal通信)


毎日新聞メディア欄連載「出版ウォッチング」(5月号)

 2003年4月から「毎日新聞のメディア欄」(隔週の火曜日発行号)に「出版ウォッチング」を連載することになった。このページでは、4月以降に掲載された「出版ウォッチング」月ごとにご紹介することにする。
出版メディアパル編集長 下 村 昭 夫

 著者と読者の皆さんの架け橋として本を生み出している出版界の「こぼれ話」を月2回・隔週の火曜日の連載で、ご紹介することとなった。ここでは、2004年5月掲載分をご紹介する。

(25)明るい兆しと読書運動 (2004年5月25日号)
 二つのミリオンセラー『バカの壁』(養老孟司、新潮社、350万部突破)と『世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一、小学館、306万部突破)が今年の出版界をリードしている。
 史上最年少の芥川賞受賞作家の登場で、受賞作品を掲載した月刊誌『文芸春秋』が好調で、『蹴りたい背中』(綿矢りさ、河出書房新社、120万部突破)が、ミリオンセラーとなった。続いて、『13歳のハローワーク』(村上龍、幻冬舎、100万部突破)が、ミリオンセラーの仲間入りをした。
 出版科学研究所によると、今年第一四半期の推定販売金額は、書籍が3.7%増、雑誌が0.7%増と、久しぶりに三ヶ月連続で、対前年比を上回っている。
 9月1日には、静山社から『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)』がセット定価4200円で発売される予定で、この好調を持続させる要因と明るい兆しが見える。
 話題が話題を呼び、本は売れ始めると一人歩きすることがある。
『世界の中心で、愛をさけぶ』は、帯文に書かれた柴咲コウさんの『泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました』が、ベストセラーへの道を開いたといわ
 その一方で、朝の読書運動に取り組んでいる学校が、16562校を突破し、全国の小・中・高等学校で560万人の生徒が、毎朝、「本との出会い」を楽しんでいる(04年5月現在)。
 小さな積み重ねが、本の未来を切り開いてくれることを確信している。



* 一回お休み


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