マルチメディアと出版の近未来


4.7  電子図書館と著作権

*デジタル・アーカイブと電子図書館
 現在、国会図書館には、約650万冊の“本”が納本されており、国内外の新聞・雑誌15万種、マイクロフィルム約23万巻などが収蔵されている。
 ここへきて、話題になっているが、「電子図書館構想」。文部省学術センターの「学術雑誌提供プロゼェクト」や国会図書館の「パイロット電子図書館システム」など、さまざまな構想が発表され、将来の「電子図書館」づくりが進められている。
 電子図書館の目的には、国民の共有財産でもある、貴重な文献そのものを「デジタル・アーカイブ」の形で保存し、広く提供することと、さまざまな文献情報をデータベースとして活用することの二つがある。
 また、CD-ROMやDVDなどデジタル情報が急増し、CD-ROM出版だけでも96年末には約5500点もの国内ソフトが出版された。公共図書館での“本”の利用は研究目的のためなら、著作者に許諾なしに自由に複製(複写)できるのが現行法の定め。
 しかし、CD-ROMなどの電子情報がインターネットなどのオンライン回線で“自由”に読めるようになると、“電子出版業”は成り立たないというのが業界の主張。
 現在、国会図書館と日本電子出版協会との協力で、94年からCD-ROMの閲覧室が設けられているが、「パッケージ系電子出版物」の納本制度が、2000年度から開始されたのに伴い、今後、その利用方法をめぐり著作権法や図書館法などの改正問題が浮上してきている。


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