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◎ 今月のプログラム

出版学研究ノート

日本におけるマスメディアの現状(5)
広告産業の現状と課題

出版メディアパル編集長 下村昭夫

第5回

 「新聞」「放送」「出版」「インターネット」に続き、今月号では、「広告産業」の現状と課題を考えてみよう

X マスメディアと広告

1.伸び悩む広告と急増するインターネット広告
2005年の「日本の広告費」(電通調べ)によると、日本の総広告費は5兆9625億円で、その内わけは、テレビが2兆411億円、新聞が1兆377億円、雑誌が3945億円、インターネットが2808億円、ラジオが1778億円、その他SP広告費(DM、折込み、屋外、交通、POP、電話帳、展示、映像など)、衛星(BS、CS)、CATV、インターネットなどが2兆306億円となっており、そのうちインターネット広告が急増してきている。
広告は企業活動と連動しており、その製品・サービス・アイデアなどの情報伝達が消費者動向を直接左右する。
テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスメディア四媒体の利用形態は変わらないが、インターネット広告が、2004年にラジオの広告費を上回り、第4位となった(図15、図16参照)。


2.広告媒体の性格とインターネット
 広告媒体をメディアごとに考えると、次のような特徴があるといえる。
 (1) テレビ広告:ビジュアルな映像を駆使して、消費者に親近感のある効果的なCMが提供できる。広告効果は大きいが、その広告が売れ行きを左右するためには高額の費用が必要である。
 (2) 新聞広告:新聞の社会的信用度に依拠でき、速報性があり、訴求力の大きな紙面づくりが出来る。一覧性があり、保存性に優れ、資料的高価も大きい。
 (3) 雑誌広告:定期的に発行され、読者層が安定しているため、専門性に優れている。新聞と同様に記録性、保存性に優れ、資料的効果も大きい。
 (4) ラジオ広告:料金が比較的安価で、音楽効果を利用でき、視聴者に親しみのある広告が出来る。
 (5) インターネット広告:従来型のマスコミ四媒体に比べ、インターネット広告は、双方向型の広告媒体として、消費者の反応を直接つかみやすく、費用対広告効果の面でも優れている。

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 以上、さまざまな視点から「日本におけるマスメディアの現状」を考えてきた。いま、メスメディアは時代の変化とともに大きくその役割を変えようとしている。また、デジタル技術やインターネットが情報発信の面でも、広告情報媒体の面でも既存メディアに与えている影響は大きい。マスメディアに働く人にとが、民主主義を支える基幹メディアとして、その社会的役割を改めて認識することの重要性を強調して報告のまとめとしたい。

<参考文献>
『図説 日本のマスメディア(第二版)』藤竹 暁編著(日本放送出版協会)
『メディア産業論』伊藤高史ほか(有斐閣)
2006年版『情報通信白書』総務省編(ぎょうせい)


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