本作りこれだけはQ&A 出版技術講座


3.7  出版流通ビッグバン

Q:最近、トーハンなどが始めた「eS−BOOKs」や図書館流通センターの「BOOK1」が話題になっていますが, その他にどんな構想があるのですかか?
A:「eS−BOOKs」や「BOOK1」は、インターネットによる注文を宅配便利用し早期配達を可能にしたもので、新しい一つの試みといえます。
 そのほかにも、さまざまなシステムが発表されており、インターネットなど新しい出版流通の試みとともに、永年来の「出版流通」の改善に業界全体で取り組むことが急務と言えます。
1. eS−Books(1999年11月より)
 トーハンの取扱書籍10万点(→20万点)+CD等をインターネットで注文、宅配。
 トーハンから3~5日でセブンイレブン(8000店)へ → 書店反発;客注品改善要求
 店頭受渡し;1回6冊まで、3000円までは200円(留置料100円+手数料100円
 宅配希望;前金制+宅配料380円+代金収納手数料100円=480円(*推定5万冊)
 支払方法;現金、クレジットカード、銀行振込、コレクトサービス
 資本金2億円:トーハン(10)+セブンイレブン(30)+ソフトバンク(50)+ヤフー(10)
 会員登録;10万人(3月末);店頭受け渡し;90%(*推定5万冊)2月;1億円弱
 トーハン「新物流倉庫」;2002年稼働(?);3500万冊、65000m2、出版SCMの拠点
 トーハン「雑誌専用物流センター」:2002年;1日600万冊の35%(→新雑誌配本システム;5月)
 本の探検隊は45000点の探索アイテムだが、早い機会に140万点にしたい」
2.日販のホームページとインターネット販売の試み;1999年11月
 ハイテクセンターの機能拡充;注文品の翌日配達+書店注文の95%を電子化(98年)
 「本やタウン」: 書店経由140万点;大手6店舗+50店舗に拡大+サテライト店1000店舗(4月)
 ウェッブセンター(5月):35万点+王子PB10万点+在庫確認+24時間稼動+在庫品の即日出荷
4.栗田出版販売 「本屋さん直行便」の試み;1999年12月
 「本屋さん直行便」:専用FAX+オンライン(7月)、単行本10冊単位(文庫20冊)買切+85掛
 加盟店255書店、1500冊/日(12月現在)「読者の目線」「書店向けサポートの強化」(→569億)
5.日本最大のネット書店、ブックワン「BOOK1」 2000年7月稼働予定
 資本金20億;TRC(39)+日経BP(20)+アスクル(10)+富士通(10)+日経(10)+NTT-X(4)+電通(5)
  (初年度売上予測;30億円)
 TRC書誌DB180万タイトル+ブックレビュー+顧客DB(98万事業所など1000万人)
 TRCの実在庫(2万点、60万冊)+取次4社の仮想在庫(20万点、200万冊);客注の8割
 即日配達;東京・大阪の指定地域は午前11時までは夕方;(配送;アスクル+ヤマト運輸)
 One-To-Oneマーケティング;顧客サービス+購買データのフイードバック
6.三省堂書店「ブックサイト三省堂」の試み(1999年12月より)
 インターネット通販書籍+駅コンビニで受け渡し
 埼京線12駅構内CVS店舗を利用;「JC」15店舗;300件/月(首都圏:71駅・76店舗に拡大;4月)
 阪急電鉄+ブックファーストでも、同様の試み
7.JR東日本ネットステーション「えきねっと」;2000年4月
 東日本キヨスク+ブックガーデン
 JC(179駅)+ローソン;阪急百貨店+マツモトキヨシ+三菱商事etc(書籍・雑貨・食品)
8.中小版元の「版元ドットコム」の試み:2000年3月
 ポット出版、青弓社、凱風社、第三書館、太郎次郎社、批評社などの共同運営
 一般読者:決済料13%+ドットコム手数料2%+版元85%(送料は版元負担)
 書店(会員登録):マージン20%+版元正味80%+手数料なし(送料は版元負担)
9.専門書の「cbook24」の試み;2000年3月(コンピュータ関連市場:書籍;480億円+雑誌;720億円)
 アスキー、ソフトバンクパブッリッシング、翔泳社、日経BPなどの共同経営(マージン;33%)
 コンピュータ書16000点DB(5000点在庫)+佐川急便から配送(一律280円+24時間or48時間)
10.TS流通協同組合「e-bos計画」:読者→書店→出版社を直結;内諾158社;30社で8月から実証試験
11.CSK「書籍受発注ECサービス」:平安堂(BRAIN)+角川、筑摩など50社;販売情報の提供
12.日書連「本屋さんへ行こう」:「バードネット」検索+注文
13.日教販「学参ドット・コム」;2000年4月;ネット販売を強化「専門取次NO1をめざす」
14.システムヤマト「書籍ネット通販」:ドル建て決済による「送料無料」直販構想
15.ネット生協「コープランド東京」(6月);パソコン周辺機器+書籍・CD(10%引き)
Q:新古書店の影響が話題になっていますが、現在のシェアはどれくらいなのでしょうか?
A:ブック・オフなどの新古書店の売上は、98年度で500億円に達しています。周辺の新刊書店への直接的な影響の他に周辺書店での「万引きの増加」などの社会現象をも引き起こしています。さらには、新古書店に対抗するために、新本販売書店でも「本のリサイクル運動」を始めるなど、「書店のあり方」そのものが、今、問われていることになります。
新古書店「ブック オフ」の快進撃;直営97店、FC354店(263億円)+CCCと連携(年内10店舗)
リサイクル市場;店舗数;1500店、500億円('98年) *「価格破壊」+「廃品回収」+「店頭買」
“普通の書店”の反乱か?:「本のリサイクル」+「新本の販売」;「新本販売店の未来」を考える会


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