本作りこれだけはQ&A 出版技術講座


3.2  出版流通の基礎知識 2

Q:日販・トーハンで今までの取次ぎの65%ほどをシェア持っていると色々な情報で調べたのですが、日販・トーハンはそれぞれどれほどのシェアを持っているのでしょうか?
A:二大取次のシェアは1996年度のデータで68%程度です。両者の1996年度の売り上げは、次のとおりです。
日  販:書籍(2857億円)雑誌(3996億円)その他(1280億円) 総計8133億円
トーハン:書籍(2900億円)雑誌(4385億円)その他(687億円)  総計7972億円
二大取次による熾烈なシェア争いが、日夜、繰り広げられており、中小の取次は,苦戦している状況です。
Q:最近、トーハンなどが始めた「ES-BOOKS」が話題になっていますが、どんな販売ルートなのでしょうか?
A:アメリカのアマゾン・コムの成功(世界最大のサイバー書店、110万点。1997年度185億円)の刺激され、日本でも、さまざまなサイバー書店が生まれています。
 「イー・ショッピング・ブックス」は、トーハン+セブンイレブン+ヤフーなど4社の共同によるもので、宅配便による早期配達とコンビニでのカード決済を可能にしたもので、新しい一つの試みといえます。
 一般に、書店などからの「客注」の送品状況は、2〜3週間かかり、業界でその改善が強く望まれていました。
 そのため書店業界からは,書店の永年の要望を無視したままでの「ES-BOOKS」に強い反発の声も上がっています。
 インターネットなど新しい出版流通の試みとともに、永年来の「出版流通」の改善に業界全体で取り組むことが急務と言えます。
Q:オンライン出版による流通の直販ルートの現在のシェアはどれくらいなのでしょうか?
A:各社のデータが公表されないため。全体像は「不透明」です。日本全体のサイバービジネスは、通信白書によると、650億円程度です。
 現在、紀伊国屋書店、丸善、三省堂書店の他、図書館流通センター、ブックサービスなどでもオンライン書店を開始しています。
 98年度の実績で、紀伊国屋の「BookWeb」の売り上げが1ヶ月約1億5000万円、ブックサービスが約6000万円、丸善が約3300万円程度となっています。
 出版全体の売り上げ2兆5000億円のうち、書籍の売り上げは1兆円、このうち、オンライン書店の売り上げは、50億程度とみられています。


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