本作りこれだけはQ&A 出版技術講座


2.2  DTP編集と品質管理

Q:DTPではどんな書体を使っているのですか。 なぜ、写研書体は使えないのですか?
A:MacDTPで使えるフォントの種類は、PSフォント(PostScript)、TrueType、ATM(アドビタイプマネージャ)の三つがありますが、基本的に印刷用フィルムに出力できるのは、PSフォントです。PSフォントとは、アメリカのアドビシステムズ社が開発したページ記述言語の一種です。 印刷用の高解像度のプリンタやイメージセッタには、すべてPSフォントが使われています。
写研の書体は、DTP環境にリリースされていません。 現在では、モリサワの書体を中心に、多くのPSフォントがリリースされていますので、フォント環境はかなり改善されたといえます。 また、フォントは、編集部の入力環境と印刷所の出力環境を整えて置かなければ、正常なデータは、出力されません。
Q:RGBのデータをYMCKになぜ、変換する必要があるのですか?
A:版下から製版しても、DTPでフィルム出ししても、カラー印刷の原理は、同じ事です。
Macのディスプレー上では、RGBで色の再現が行われますが、フィルム出力用のイメージセッタにはYMCKに置き換えられた情報が送られ、四版に出力されます。
*フィルムの解像度;2400〜3600dpi

◎解像度と線数の関係
ディスプレー上の色管理は、RGBの混合比(光の強さ)で調整され、ピクセルと呼ばれる点で表され、ピクセル数が多いもの程、解像度は高くなり、一般に、解像度は1インチにどれくらいの点が打てるかというdpi(ドット・パー・インチ)で表されます。
印刷の色管理は、YMCKの網点(スクリーン)の大きさで調整され、1インチあたり何本の線が引けるかという線数(スクリーン線数)で表されます。
スキャナの入力解像度とフィルムの線数の関係は、1:1の比率の場合、線数の約2倍の解像度が必要とされています。
*例;カラー印刷:175線の場合;350dpi
 モノクロ印刷:133線の場合;270dpi
このように、DTPで、色管理を完全に行うには、入力側の編集者やデザイナーが、印刷側で行うのと同レベルの色管理を行う必要があります。
Q:DTPは、ソフトが同じなら、MacでもWindowsでも、データの互換性は、あるのでしょうか?
A:同じソフトで、バージョンが合致していれば、Windows版のデータをMac版のデータにコンバートした場合、文書ファイルとしては、まず、問題なく、使用出来ると思われます。
しかし、実際のデータでは、「拡張子の問題」「使用フォントの問題」「貼り込み画像の問題」など、あらかじめ環境を整えておかなければ、トラブルの要因になりかねません。
従って、Windows版のファイルをMac版のファイルにコンバートした場合、新しいファイルになると思うほうが、よいかもしれません。この場合、素材のテキストデータや画像データをそのままコンバートして、新しい文書ファイルを作成した方が、かえって、上手く仕上がるかもしれません。
いずれにしても、充分にテストしてから、実務で使用することをお勧めします。


©1999年 Shimomura