4.9 アイデアと著作権法
花 子 | レシピに著作権なしというお話を伺ったけど本当なの? |
太 郎 | 著作権法で保護されているのは、「思想または感情を創作的に表現したもの」ということは知っているね。 |
花 子 | ええ、小説や絵画、音楽のような、具体的な表現物に対しての保護ということだったわね。 |
太 郎 | そのとおりだよ。そこで、料理について考えてみると、「味は、思想や感情の表現ではないので、著作物性は認められない」と一般的には考えられているんだよ。また、調理を終えた料理そのものにも、また、盛り付けにも著作物性なしと考えられているんだよ。 |
花 子 | じゃ、料理法やレシピは何の保護もないわけ? |
太 郎 | 料理法やレシピは、一種のアイデアということができるね。アイデアを保護するのは、特許や実用新案ということになるが、料理法の特許には、ちょっと無理があるね。一般にレシピなど一つの料理法が、世に生まれたとして、その料理法や味を改善することで、また新しい料理法が生まれてくるといえるね。 |
花 子 | 独創的なお料理を思いついても、その料理法を守る方法は何もないということなの。 |
太 郎 | 独創的な手法、例えば「コカコーラの原液」などは、トレード・シークレット(営業機密)ということで、日本流にいえば、不当競争防止法で保護されることになるが、一般の料理法までは、その範疇にないといえるね。 |
花 子 | お土産屋さんの「元祖〇〇」という方法があるわね。 |
太 郎 | この場合も、味そのものよりも、商品名などを巡る「商標権」を守る意味合いが強いといえるね。 |
花 子 | ところで、お料理の解説本やお料理の写真は、どう保護されるの? |
太 郎 | レシピを含む料理法の解説書はもちろん「言語の著作物」として保護されるし、写真は、撮影者の「写真の著作物」として保護されるよ。 |
花 子 | じゃ、花子流料理法を世に伝えるには、お料理の解説書として残せばいいわけね。 |
©2001年 Shimomura