4.6 ビジネスモデル特許
花 子 | 最近、新聞などで、ビジネスモデル特許という言葉を見かけるけど、どんな概念なの? |
太 郎 | 開設以来、わずか五年で、世界一のサイバー書店に成長したアマゾン・コムの商法は、価格サービスだけではなく、リコメンド制など顧客に対する徹底した情報提供サービスが有名だが、 その「ビジネスモデル」そのものの「特許」を獲得し、一九九九年九月に、アメリカNo.2のバーンズ&ノーブル社を特許侵害で訴えたんだよ。 その一つは、多くのオンライン・ショッピングで、今では、当たり前に使用されている「cookie」と呼ばれるワンクリック・オーダーシステムで、一度購入実績のある顧客に対しては、顧客の届出先や請求先などを保存しておき、一回のクリックで、購入手続きが完了するシステムのことだよ。 |
花 子 | 社会的には、どんな影響があったの? |
太 郎 | シアトルの連邦地裁は、提訴から、わずか四〇日で、バーンズ&ノーブル社に対し、提訴が結審するまで、類似のシステムの使用を禁止したんだよ。 |
花 子 | 私が、新聞で見かけたのは、三月だったんだけど? |
太 郎 | それはね、ママゾン・コムが、二〇〇〇年二月、その第二弾ともいえるビジネスモデル特許を獲得、ネットビジネス界を揺るがした報道だよ。 その方法は、「アソシエートシステム=提携プログラム」と呼ばれているもので、いわば、サイトのスペース貸しシステムのこと。 あるネットショッピングの運営者が、提携先のサイトにリンクを張り、商品を紹介しておき、その商品が売れると売上げの一部を提携先のサイト運営者に支払うという仕組みのことで、この手法も、ネットビジネスの世界では、広く使われている手法の一つなんだよ。 |
花 子 | あら、そうすると、他のオンライン・ショッピングでは、その手法は、使えなくなるのね? 日本でも、同じような訴訟は、起きているの? |
太 郎 | 日本では訴訟にはなっていないが、インターナショナルサイエンティフィック社が、一九九九年六月、「時限利用課金システム」にビジネスモデル特許を獲得、二〇〇〇年三月、「インターネット上でIDとパスワードを使い、コンテンツの販売やショッピングモールを運営している方は、弊社の特許に抵触します」というメールをインターネットプロパイダなどの事業者に送り、日本のネットビジネス業界を揺るがしたと報じられているよ。 アメリカに続き、日本でも、「ビジネスモデル特許騒動」がいよいよ始まった。 しかし、このビジネスモデル特許は、日本の特許法に明確な概念がなく、アメリカでは、アマゾン・コムの行過ぎた「規制」に対し、不買運動すら起こっており、日米とも、「ライセンス契約を行うか」それとも「無効審判」で争うか、今後、目が離せない状況になってきた。 |
花 子 | 著作権だけでなく、特許法や「知的財産権」全体をこれからは、学ぶ必要があるのね。 |
©2000年 Shimomura