渦(出版界の内と外)


4.4   パソコンソフトとシュリンクラップ契約

花 子コンピュータのソフトをインストールしようとしたら、「使用許諾契約に同意しますか」などと聞いてくるけど、あれには、どんな意味があるの?
太 郎そのパソコンソフトのパッケージにも、同じような表示があり、「 開封した場合は、使用許諾契約に同意したものとみなされます」などと書かれているはずだよ。
 これは、一般に、「シュリンクラップ契約」と呼ばれている契約方法だよ。
花 子一般の契約とは、どこが違うのかしら?
太 郎通常の契約の場合は、買い手と売り手が対等な立場で交渉して、「買いたい」「売りたい」という両者の同意があって、「売買契約が成立」し、「お金を支払う」と同時に、「商品を受取り」、その「所有権」も買い手に移転するのが、一般的だよね。
花 子お金を出して買ったんだから、当然のことでしょう。
太 郎ところがね。ソフトの場合は、購入者は、そのソフトの「使用を許諾された」だけで、「著作権などの権利」は、依然として、「ソフトの著作権者にある」んだよ。
花 子インターネットからソフトをダウンロードするときも同じなの?
太 郎そのとおりだよ。インターネットから、ソフトをダウンロードするときにも、同じような表示がされるはずだよ。その表示の「同意する」をクリックすることで、「使用許諾契約」が成立することになるんだよ。
「シュリンクラップ契約」をもじって、「ウエブラップ契約」とも呼ばれているよ。
花 子すると、買い手の側は、どんな権利があるの?
太 郎この契約は、「利用者の良識に依存」して、ソフトの開発者の権利を守ろうと言うことだから、使用契約の範囲と著作権上許される範囲で、そのソフトを自由に使えるということだよ。


©1998年 Shimomura