渦(出版界の内と外)


3.5  ホームページと出版流通

花 子出版社が開設しているホームページには、どんなページが多いのかしら?
太 郎一番多いのが、何といっても「本や雑誌の紹介」「会社の概要」「イベント紹介」だよ。その限りでは、読み応えのあるホームページを作のは、人手の問題もあり、これからというところかな。
花 子ホームページを利用した「本の通信販売」はどうなの?
太 郎フジオンラインシステムの「電子書斎パピレス」やNTTプリンテックの「インフォケット」などもサイバー書店を通じて「通信販売」が成功しているね。
会員制のところもあるが、紀伊国屋や丸善、三省堂などの書店や出版社各社でも、同じようなサイバー書店を開設している。
花 子結構、活発なのね。「本の内容」そのものを公開している例はあるの?
太 郎新潮社の「Web新潮フリー」の試みや、週刊誌系の「インターネットフォーカス」、「POSTネット」のように、最新号の内容の一部をホームページに公開する事で、新しい読者を開発しようという試みもある。
研究社では、インターネット利用の辞書検索「オンライン・ディクショナリ」の会員制の有料化に踏み切っている。
最近では、iモードを利用した三省堂の「ウェブ・ディクショナリー」や岩波書店の「広辞苑」なども電子辞書の提供をインターネットを通じて行っている。
大日本印刷やトッパンの電子モールにも大手の出版社のサイトがあるし、誌面の切り売りを行うシステムもすでに稼働しているね。ホームページを利用したさまざまな読者サービスを模索しているというところかな。
出版社だけでなく、著者が自らが「電子図書館」の形のホームページで「新しい情報」を提供したり、既刊書の新しい内容を補足したり、読者の質問に答えたりしているホームページもある。
花 子ホームページを開設するメッリトはどんな点なの?
太 郎何といっても、「情報の新しさと早さ」だよ。ある意味では、「原稿ができあがった時点」で、情報提供が可能なわけだし、システムができあがれば、コストの点でも、充分引き合うことになる。


©1998年/2001年8月 Shimomura