渦(出版界の内と外)


2.8  インターネット出版の夢と現実

花 子インターネットを使った電子書籍の動きが活発化しているようだけど、どんな状況なの?
太 郎テキスト形式の電子情報の配信としては、「電子書斎パピレス」や「青空文庫」が有名だが、新しい動きとしては、光文社など電子文庫出版社会八社の「電子文庫パブリ」やイーブックイニシアティブジャッパンが配信を開始した「電子書籍e-book」などがある。
花 子提供されているのは、どんな情報なの?
太 郎辞典情報のネット配信としては、ソニーなどの電子ブック閲覧室「私の仕事部屋」や平凡社の百科事典情報を提供する日立S&Sの「ネットで百科@Home」などに加え、「三省堂ウエブディクショナリー」のように、iモードを利用したサイトが急増している。
花 子漫画や音声の配信はどうなの?
太 郎漫画の配信としては、富士ゼロックスの「まんがの国」や集英社の「iモードジャンプ」などがある。音声の配信としては、新潮社の「サウンドシェルフ」などがあり、村上龍氏などの作家さんのWebサイトや二〇〇〇〇誌が登録されている無料のメールマガジン「まぐまぐ」などの動きも活発だよ。
花 子デジタルコンテンツの問題点としてはどんな課題があるの?
太 郎デジタルコンテンツの利点としては、「複製が簡単である。大量の配信が出来る。更新情報がすぐに作れる。検索性に富む」などさまざまあるが、その反面、「見やすい電子ビューワーがない。著作権上の問題がある。安定した課金システムが開発されていない」などと問題点も多い。昨今では、「コンピュータウイルスや不正アクセス・不正コピー」「Web攻撃やハイテク犯罪」が多発しており社会問題となっており、犯罪・セキュリティを巡る課題も多い。
花 子そういえば、インターネット配信を巡る著作権法の改正、ビジネスモデル特許を巡るアメリカの動き、不正競争防止法の改正など法律上の新しい考え方をお聞きしたわね。
太 郎新しい課題に加え、風営法の改正以来、増加している有害情報の取り締まりの強化や「個人情報保護基本法」や「青少年社会対策基本法」制定の動きなど、インターネットと「言論・表現の自由」を巡る課題にも留意したいね。


©2001年 Shimomura