2.3 DTPの導入と本作り
花 子 | 私の職場でも、Macが導入され、DTPによる電子編集が始まるんだけど、どんな点に注意すればよいのかしら? |
太 郎 | システムを導入すれば問題が解決するのではなく、本作り全体を新しい視点で捉え直す事が重要だね。職場では、DTP導入の目的をどんなふうに説明されているの。 |
花 子 | 基本的には、DTPを導入することで、「直し」が自由にできて、最終的には編集コストを引き下げることかしら。 |
太 郎 | 簡単に直しができるといっても、大量に赤字を入れたり、何度も校正を出していたんでは、かえってDTP編集のほうが高くつくこともあるんだよ。 |
花 子 | あら、どうして? |
太 郎 | Macを使おうが、CTSで組もうが、原稿どおりに文字を組み、レイアウトし、読者が読みやすい誌面を作り上げるのが編集の仕事なのだよ。印刷や製版の基本的な知識が要求され、その仕事全体の流れが変わり、無駄のない、スムーズな工程管理ができないと、かえってDTPの導入により、残業づけの毎日になってしまうよ。 |
花 子 | どうすればよいのかしら。 |
太 郎 | 本作りは、デザイナーや印刷所との共同作業なのだから、何よりも今までの編集工程をよく分析することだね。そのうえで、どの部分までの電子編集を編集部で行い、どこからデザイナーや印刷所の仕事とするのかをよく考えることだね。 ところで、印刷所との打ち合わせは、終わったの。 |
花 子 | まだだけど、どんな打ち合わせが必要なの? |
太 郎 | 電子データの受け渡しの方法、フォントの種類や使用ソフトの確認、修正が出たときのフォローのしかたなど、大事な事がたくさんあるんだよ。 仕事の内製化によるコストダウンやデジタル情報のマルチメディア化などは、システム導入がうまく行ってからの課題だね。 |
花 子 | DTPのスキルを教えてもらえる講座はあるの。 |
太 郎 | 出版技術講座でもフォローアップセミナーで高田さんの「MacによるDTP活用講座」を開催しているし、大日本印刷や日本グラフィック工業界でも、編集者向けのセミナーが開催されているから、連絡してみるといいよ。 |
花 子 | あら、ほんと、助かるわ。早速、コンタクトしてみるわ。 |
©1998年 Shimomura