渦(出版界の内と外)


2.1  電子編集の心得

花 子太郎さん、この頃、よく、パソコンの前で仕事しているわね。
太 郎50の手習いという事で、ワープロソフトの使い方とE-メールの使い方を取りあえず、マスターしたよ。
 ある先生から、追加の原稿をメールで送ってもらったし、アメリカに留学中の娘とも、インターネットを通じて、メールの交換を始めたよ。
花 子あら、お嬢さんとは、英語でメール交換ですか?
太 郎30年ぶりの英語の勉強で四苦八苦しているよ。
花 子太郎さんは、パソコン関係の本もたくさん出しているから、パソコンの達人かと思っていたわ。
太 郎理論と実践とは、いつの時代も別の問題だよ。新しい技術が生まれたとき、その技術をどんな風に活用するのかということが、問われているわけだから、編集の基本を覚える事が、大切なんだよ。
花 子ところで、電子原稿の比率は、どれくらいなの。
太 郎仕事の種類で、状況はいろいろだけど、ある会社では、90%以上がフロッピー入稿という編集部もあるよ。
花 子どんな注意が大切なの。
太 郎文字原稿のほうは、MS-DOSのテキストデータの形でいただく事と、必ず、ハードコピーを添付していただく事だね。
花 子電子原稿の作成時の注意点は?
太 郎たくさんあるけど、「段落(強制)改行以外の改行は行わない事。」「インデント(字下げ)は行わない事。」「修飾(文字飾り、拡大文字、上付き、下付き、ルビなど)を行わない事。」「罫線や表組を使用しない事。」「ユーザ外字を使用しない事。」「全角入力、半角入力を区別する事」などが、基本的な注意事項だね。
花 子印刷所との打合せは?
太 郎機種やデータ形式の確認、入稿後の訂正や追加などの処理方法の打合せが大切だね。また、「入稿は、必ずバックアップデータで行う事。」「文字指定などの編集上の指定は、プリントアウトされた原稿で行う事。」「組版用のレイアウトの指定も忘れない事」などだね。
花 子あら、それでは、いままで、以上に完全原稿が要求されるのね。
太 郎DTPや電子編集の最終的な目標は、コストダウンや日程の短縮という事だが、何よりも印刷現場との共同の仕事として、本づくりの合理性を考えていく事が大切な事なんだよ。


©1998年 Shimomura