1.7 カラー写真と印刷原稿
花 子 | カラー写真の原理は、カラー印刷の原理と同じなの? |
太 郎 | カラー写真用のフィルムは、一九三六年にアメリカのイーストマンコダック社が開発したものがルーツで、一般に、多層式発色フィルムが使われており、自然光を分解するために、同一のフィルムベースの上に、ハレーション防止層、赤感光乳剤層、緑感光乳剤層、赤と緑の感光乳剤層に青色光や紫外線が侵入するのを防ぐための黄色フィルタ層、青感光乳剤層を順に塗布してあるのだよ。 |
花 子 | 自然光を受けた後はどうなるの? |
太 郎 | 天然色写真とはよく言ったもので、三つの層が発色現象により、赤感光乳剤層はシアン(青緑)に、緑感光乳剤層はマゼンタ(赤紫)に、青感光乳剤層は黄色に発色されるんだよ。これは減色法によるカラーの原理を一枚のフィルム上で具体化したもので、一回の露光で三色分解のネガフィルムが得られることになる。 |
花 子 | なるほどね。ところで、カラーフィルムには、私たちが一般に使うネガカラーとポジカラーがあるけどどう違うの? |
太 郎 | 発色現象で得られたネガフィルムから、反転現象で直接、ポジ(陽画)を得るのがスライド用などに使われるリバーサルカラーフィルムで、最初にカラー陰画を作り、カラー印画紙やカラーフィルムにプリントして陽画を作るのがネガカラーフィルムだよ。 |
花 子 | 印刷原稿にするにはどちらを使うの? |
太 郎 | ホビー用にはネガカラーで十分だが、印刷原稿にするには、ラチチュード(露光寛容度)が狭く、撮影条件が厳しい側面はあるが、必ず、リバーサルフィルムを使うことだね。 |
花 子 | それはどうしてなの? |
太 郎 | ネガのままだと、直接、色分解できないので、印画紙に焼き付けた原稿をスキャナーで色分解することになるが、この印画紙に焼き付ける段階で色保障が十分に出来ないからだよ。 |
花 子 | 大きさは三五ミリフィルムでいいの? |
太 郎 | それは使用目的によって違うね。本文原稿にする場合は、三五ミリで充分といえるが、口絵写真や表紙写真に使う場合は、一般に、ブローニー判や四×五インチのフィルムが使われるね。何に使う写真なの? |
花 子 | 夏の北海道の旅行記事なんだけど、カラーの六ページ分、ルポ記事を取材してこいという編集長のお許しが出たの。 |
太 郎 | それは楽しみだね。いい写真原稿は、何よりも、ピントがしっかり合っていること。カラーバランスが取れていることなどが大切だね。手ぶれがしないようにしっかり両脇を締めて、いい構図の写真を撮ることを心掛けるといいよ。 |
©1999年 Shimomura