渦(出版界の内と外)


1.5  インターネット書店の現状

花 子インターネットを利用したネット書店が話題になっているわね。
太 郎図書館流通センター(TRC)などの「ブックワン」構想は七月実施を目指すもので、TRCの実在庫(約2万点、60万冊)と業務提携するトーハンなど取次四社の仮想在庫(約20万点、200万冊)の在庫データを共有化し、注文した時点で在庫を確認、一冊の注文にも応じる構想で、関東、関西の指定地域内では午前中の注文品を夕方までには即日配達するとのこと。
花 子ネット書店の現状はどうなっているの?
太 郎一言で説明し難いが、インターネットやホームページを使ったオーダーシステム、宅配便の利用(380円程度の負担)、3〜4日間での配送、支払方法(現金、クレジットカード、銀行振込、コレクトサービス)など、似通ったシステムだといえるね。
花 子インターネットの利用者はどれくらいなの?
太 郎通信白書によると、日本のインターネット利用者は、1694万人で、商用サービスを開始してわずか5年で、世帯普及率で11%に達したということだよ。
花 子インターネットを利用した取引高は、どれくらいあるの?
太 郎個人の電子取引で推定1665億円、企業間で2兆4000億円程度、インターネット上の仮装店舗(電子モール)が12000店といわれている。
花 子書籍だけの取引高はどれくらいなの?
太 郎紀伊国屋書店「BOOK WEB」丸善インターネットショピング 八重洲ブックセンター 文教堂「J-Book」、ジュンク堂、三省堂書店「インターネットショピング」旭屋書店などの他、「ブックサービス」、トーハンなどでもオンライン書店を開始しているが全体像は報告されていない。98年度の実績で、紀伊国屋の「ブック・ウエブ」の売上げが一ヶ月1億5000万円程度、ブックサービスが6000万円程度、丸善が3300万円程度となっている。出版全体の売上げ2兆5000億円のうち、書籍の売上げは約1兆円、このうち、オンライン書店の売上げは、50億程度とみられているね。
花 子あら、意外と取引高は、少ないのね。
太 郎取引高は、今のところ小さいとはいえ、対前年比で考えると、99年度は75億円程度と推定されており、成長率は150%から250%と予測されている。
花 子何が、読者から、歓迎されているのかしら?
太 郎何よりも利便性であり、欲しい本が3〜4日で手に入る点だろうね。「欲しい本が手に入らない」「客注品が遅い」といった読者の不満にどう出版界が応えなければいけないのかが問われているんだよ。
花 子でも書店さんで直接本をお買いいただくたくさんの読者の方がいるわけね。書店は「本との出会い」の場として、出版社と読者をつなぐ大切な役割を果たしてきたわけでしょう。その原点をもう一度見直すことが大切なのね。


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