渦(出版界の内と外)


1.4  デジタルコンテンツと出版

花 子 インターネットの人口が急増したそうね。
太 郎二〇〇一年版の「インターネット白書」によると、今年の二月の時点で、三二六三万人となっており、この一年間に一三二五万人もの人が新たにインターネットを始めた発表されている。
花 子急増した要因は何なの?
太 郎それはなん言っても携帯電話とPHSの爆発的な普及による若い女性を中心としたインターネット人口の急増があげられるね。女性の比率が、三八・三%を締め、世帯普及率でも四六・五%と昨年と比較するとほぼ倍増している。比率でみると、一〇代から三〇代の比率が大半だが、シルバー世代も昨年と比較すると、一・六%と伸び率では、二・七倍と急贈しているのが目立つね。
花 子自宅や勤務先・学校などで、ネットを楽しむライフワークが着実に増加したということね。日本はアジア一番のインターネット大国なの?
太 郎世界のインターネット人口を約二億八六〇〇万人として、アジア太平洋地域のインターネット人口は九一五〇万人、普及率でみると第一位がオーストラリアで三八・三%、台湾、韓国と続き、日本は第六位となっている。
花 子本格的なインターネット時代を迎えたとして、デジタルコンテンツの産業状況はどうなの?
太 郎二〇〇一年版の「デジタルコンテンツ白書」によると、今年の予測でパッケージ型の出版系コンテンツ市場は、ナビゲーションで二八九億円、リファレンスで一七八億円、教育・教養娯楽で二六〇億円程度、ネットワーク型では、有料ニュースメールが二四億円、電子書籍が四億円、オンラインデータベースが二六七九億円程度と推定されている。
花 子昨年と比べるとどんな特徴なの?
太 郎市場全体では、堅実な成長といえるね。出版社系のソフトとの関連でいえば、リファレンスコンテンツ市場は、百科事典のCD-ROM市場は、伸び悩んでいるとはいえ、手堅い市場となっており、二〇〇二年度の新学習要領新規購入などが見込まれている。しかし、将来的には、百科事典などは、ネット事典の時代を迎えており、あらかじめコンピュータにバンドルされた商品以外は、CD-ROM市場も冷え込んできているとみられ、華やかさはない。代わりにiモードなどを使ったインターネット事典の市場が急増してきている。
花 子ところで、ネット型の市場で、オンラインデータベースの市場が、出版の市場からすると大きすぎるようだけど?
太 郎この白書の統計上、一般の商業データベースの市場がほとんどで、出版系といっても、テキスト系のデータベースと考えるとわかりやすいね。
花 子紙の出版も大変だけど、デジタルコンテンツの方もなかなかそう一直線にはゆかないようね。
太 郎デジタルコンテンツの持つ速報性や検索性などの利点があるが、従来型の出版メディアには、捨てがたい便利さ、利用の簡便さがあり、一概にデジタルコンテンツに移行することが必然的要素とも思えない。当面は、共存共生に時代で、それぞれの特性を生かした活用の仕方が、望まれているともいえるね。


©2001年/07年 Shimomura