1.3 21世紀と出版界
花 子 | 4年連続のマイナス成長の中で、21世紀を向かえたわね。 |
太 郎 | 業界全体が伸び悩む産業構造と公正取引委員会の再販制度見直しの結論が、この3月に出されることもあり、緊張感に包まれた新年を迎えたといえるね。 |
花 子 | でも昨年は、「だから、あなたも生きぬいて」などミリオンセラーが続出した年でもあるのね。 |
太 郎 | 一部のベストセラーやミリオンセラーなどの話題作はあったが、雑誌・書籍とも対昨年比でマイナスであり、出版不況の中で、出版社・取次・書店とも21世紀の展望を描ききれないでいると言えるのね。 |
花 子 | でも、日書連からは「書店21世紀ビジョン報告書」が発表されたのでしょう。 |
太 郎 | 書店の意識改革の必要性とパソコンの活用など自立した対応が必要としており、書店の粗利益の確保と取引ルールの改革、責任販売制への取組を具体的に提起している。 |
花 子 | 昨年来のインターネットを利用したさまざまな客注対応型の販売システムを意識しての書店近代化の提案なのね。 |
太 郎 | 図書館流通センターなどの「bk1」やトーハンの「e-hon」、外資系の「BOL」「アマゾンコム」と新しいインターネット書店の続出で、話題の多い一年だったといえるね。 |
花 子 | でも競合状態で、たいへんだということね。 |
太 郎 | 世界最大のインターネット書店アマゾンコムの日本上陸で、各種のビジネスモデルが出そろったといえ、早くも淘汰の時代に突入したともいわれており、郵送料以外の独自のサービスをどのように提供できるかが、今後の成否の決め手といえるね。 |
花 子 | インターネット書店全体の売上げでどれぐらいあるの? |
太 郎 | 1999年の50億円程度から100億円程度になったというところかな。2005年には500億円程度に成長すると予測されており、全体の産業規模が停滞する中で、インターネットを利用した販売システムはますます活発化するといえるね。 |
花 子 | 昨年は、「子ども読書年」ということもあり、読書推進運動も活発だったわね。 |
太 郎 | 生まれた直後から読書の習慣をつけさせる「ブックスタート」プロジェクトが始まり、「朝の読書」運動を実施する学校が5000校にものぼるなど、出版界がさまざまな方々と一緒に読書環境を整えることが大切といえるね。 |
花 子 | 「人は本なしには生きられない」というわね。新しい時代を創る子供たちと同時代をともに生きる読者の皆さんとともに歩む二一世紀でありたいわ。 |
©2001年 Shimomura