1.2 グーテンベルグと活字メディア
花 子 | 活版印刷の生みの親は、グーテンベルグといわれているけど、どんな人なの? |
太 郎 | ヨハン・グーテンベルグは、 ドイツのマインツの貴族の家に生まれたといわれているが、その生年や生涯については不明な点も多く、活版印刷の発明者を巡っても諸説あり、オランダ、フランス、ドイツ、イタリアなど各地で、活字を用いた印刷術が研究されており、グーテンベルグもその一人に過ぎないともいえる。 |
花 子 | でも、グーテンベルグが、ぶどう搾り機にヒントを得、印刷機を発明したんでしょう。印刷機のことをプレスというのは、このことに由来すると教わったわ。 |
太 郎 | 印刷機の完成だけでなく、1450年ごろに、「鋳型と母型の材料にくふうを加え、大量の活字の鋳造に成功したこと」「鉛の活字を組み合わせて、締め付けて版を完成させたこと」「版の上に紙を置き、上からプレスすることで、両面印刷を可能にしたこと」「鉛の活字に適した油性ワニスで練ったインキを完成させたこと」など、その当時のさまざまな技術を組み合わせて、グーテンベルグは、印刷術を完成させたと考えられている。 |
花 子 | 紙の発明は中国で、金属活字の発明は朝鮮のほうが早かったんでしょう? |
太 郎 | その技術のルーツがアジアにあったとしても、印刷術の確立に貢献し、大量の印刷物が提供され始める時代の変わり目にグーテンベルグは生きていたんだといえるね。だからこそ、活版印刷の生みの親としての栄冠は、グーテンベルグに与えられているんだよ。 |
花 子 | 紙の生産のほうは、その時代はどうだったの? |
太 郎 | 当時の抄紙法は、まだ、手漉きの時代で、現代の抄紙法の基礎となる長網式抄紙機が誕生するのは、1798年のことになる。 |
花 子 | 最初の印刷物は、「聖書」だったいうことね。 |
太 郎 | 1452年ごろには、「四二行聖書」の出版に取りかかり、弟子のシェッファーに受け継がれ、1454年〜56年の間に完成したといわれている。 |
花 子 | 印刷技術の発展により、その後のコミュニケーションの手段が、口移しの時代から文字の時代に変化し、産業革命や宗教革命に大きな影響を与えたのね。 |
太 郎 | そのとおりだよ。いま、マルチメディア時代だといわれ、電子メディアがもてはやされているけども、活版印刷に始まる紙メディア(活字メディア)が果たしてきた歴史を振り返るもの編集者として大切なことといえるね。 |
©2000年 Shimomura