出版メディアパル(Murapal通信)


毎日新聞メディア欄連載「出版ウォッチング」(2月号)

 2003年4月から「毎日新聞のメディア欄」(隔週の火曜日発行号)に「出版ウォッチング」を連載することになった。このページでは、4月以降に掲載された「出版ウォッチング」月ごとにご紹介することにする。
出版メディアパル編集長 下 村 昭 夫

 著者と読者の皆さんの架け橋として本を生み出している出版界の「こぼれ話」を月2回・隔週の火曜日の連載で、ご紹介することとなった。ここでは、2004年2月掲載分をご紹介する。

(20)消えてゆく町の書店 (2004年2月17日号)
 書店関連の住所録を発行しているアルメディアの調査報告によると、日本の書店数は18000店を割り込み、03年1年間に1673店が転廃業を余儀なくされている。その一方で、大型チエーン店などの新規店の出店が365店となっている。
 新規店の4.5倍の小売書店の転廃業があるということは、1日に4店から5店の書店が、日本の町から消えてゆくことになる。
全国の主な書店の経営資料を集計した日販の「書店経営指標」によれば、売上げ規模別に見ると、年商3億円以上の書店で「わずかな黒字」、3億円以下の書店経営の厳しさを物語っている。
 7年連続のマイナス成長下での書店を取り巻く経済環境は、再販制度(定価販売制度)の揺らぎ、ポイントカードの普及によるマージン率の実質低下、新古書店や漫画喫茶の進出あるいは携帯電話による出費増などによる売上減や一店平均年間200万円に及ぶ万引の影響など一段と厳しい。
 今、厳しい書店経営の状況を反映して、書店の棚を構成するベテランの書店人がいなくなってきていることが危惧されている。書店は「本と人の出会いの場」である。その書店が成り立たなくなっている現状からは、出版の発展は到底望めない。
 また、出版の自由は、その「流通の自由」なしには成り立たないといえる。だとすれば、「本の未来」は、出版流通の最前線で、読者に本を届ける「書店の活性化」なしには成り立たない。



 一回お休み


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