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◎ 今月の出版メディアパル
祝う春節。寒い日が続きますがもうすぐ、春です。
 出版メディアパル編集長 下村昭夫

■ 2008年1月の旅日記

1月5日
 「ビギナーのためのInDesignCS3入門」の原稿がやっと到着、10日に下版。21日に配本と超特急の編集作業となった。予定を2ヵ月繰り下げての発行になり、この間、前作の「編集者のためのInDesign入門」で読者の要望に応えていたが、最新バージョンの技法をお届するとことが出来た。
 前のバージョンから本文16ページを増加し、カラーページも新設した。本体価格を1,800円とさせていただいたが、前作同様、ご利用いただければ幸いです。

1月8日
 ちょっと「お正月気分」。横浜港へ。豪華船「飛鳥」に乗って、ランチタイムを楽しんだ。ビルの10階建てもあるこの船。ちいさな街が船内に出来上がっている。モロン「世界一周」を楽しむ「お金も余裕」もないが、つかの間のセレブ気分だけを味わう。このあと、小春日和の横浜の町を探索。観覧車に乗ったのは、ウィンでの「第三の男」を味わって以来のこと。
 ラストは、日本一高層という295.8メートルの「横浜ランドマークタワー」から夜景を楽しんだ「ちぃ散歩」でした。

1月10日
 日本エディタースクールの夜間授業始まる。毎年、年始めの「最初の授業」である。前半の1時間が「出版概論」。産業状況と出版流通の基本をお話しする。後半は「雑誌概論」。
 従来、授業では、プロジェクターを出来るだけ使わないことにしていたが、この秋から、とある女子短期大学で「出版概論」を教えることになったので、本年度からは基本的に資料の展示をプロジェクターに切り替えた。今後、各カリキュラムごとの資料整理を急がねばならない。

1月19日
 昨年秋に発行した「書店員の小出版社巡礼記」の著者「小島清孝さんを偲ぶ会」が東京・千代田区の三省堂地下の「放心亭」で開催された。
 偲ぶ会は、東京堂書店社長/大橋信夫さん、アウシュヴィッツ平和博物館館長/小渕真理さん、影書房編集者/松本昌次さん、「書店員の小出版社巡礼記」刊行委員会 山本俊雄さんの四人の方の呼びかけで準備された。
 当日、会場には、小島さんの奥さんの小島房子さん、お嬢さんの桃花さんを含む関係者41名が参加。スピーチをしていただいた方々がそれぞれのお立場から多面的に「語る小島像」から、こよなく本を愛した書店人「小島清孝」のいきいきとした想い出がよみがえった。

「森のような棚を作りたい」元・大盛堂/川上文子さん

 きびしい条件下で「本を作り続ける小さな出版社」を取材し続けた「小島清孝さんを偲ぶ心温まる会」となった。

1月21日
 「ビギナーのためのInDesignCS3入門」配本。
 発行部数:1500部。「常備30部+委託140部+注文50部」の220部でスタート。前作が2年で「1500部」完売している好調本でも厳しい「配本実績」である。先週ひらいた「小島清孝さん偲ぶ会」に参加された20社あまりの小出版社もこの厳しさに耐えて出版を続けているに違いない。
 「石の上にも3年」流にいえば、「本の上にも5年目の春」である。一歩一歩「歩み続ける」しか前には進まないのであろう。

1月23日
 朗報である。「出版産業の変遷と書籍出版流通」の重版が入荷した。2006年10月に発行した蔡星慧さんのこの本は、「日本の出版産業の歴史と出版流通の現状」をコンパクトに捉えた良書として好評を得、2007年5月の日本出版学会総会で、「2006年度日本出版学会・奨励賞」を受賞した。
 秋には立正大学の「出版流通講座」のテキストにも採用され、多くの読者に読み継がれた。昨年12月16日の日経新聞メディア欄で紹介されたことを契機に一気に注文が殺到し、このほど重版となった。

 出版メディアパルの本は、下記の「出版メディアパルオンライン書店」から、ご注文いただけます。
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1月26日
 上智大学教授・植田康夫先生(日本出版学会・会長)の最終講義に参加。『エディターシップによる「知」の創生』を拝聴した。
 講義は、高校時代に誠文堂新興社の創始者小川菊松氏の「出版興亡五十年」やジャーナリストの酒井寅吉氏の「ジャーナリスト」に感銘。上智大学の新聞学科に入学した思い出に始まり、「書評新聞でありながら文化新聞であることに魅かれた」という「週刊読書人」との出会いへと続く。
 上智大学を卒業と同時に同社に入社。「週刊読書人」は、文字どおり植田氏の一生の友になった。
 2007年4月からは、再び、同紙の編集主幹に復帰、今後とも、「書評」を中心とする植田流「出版学」を極めるこことなる。
 本論の「編集論」は、この短いスペースでは紹介しきれないが、感銘深いお話。ぜひ、「ブックレット」の形で、皆さんにお読みいただきたいと願っている。

 午後5時からの「送る会」の時間までを利用して、韓国から来日されたMoon Youn Ju さんと舘野あきらさんの三人で、2006年の5月に発行した「韓国の出版事情」の増補版の打ち合わせを行う。
 2006年以降の2年間の「続・韓国の出版事情」をまとめ、オリジナル版と「ケース入り二分冊」の増補版を4月下旬に発行する運びとなった。

 「送る会」は、「最終講義」とは打って変わり、「人間・植田康夫」の素顔を垣間見る楽しい一時となった。
 ゼミ生からこよなく愛される植田先生の秘密は、「丁寧な授業」とその歌声にあった。
 参加者からの祝辞に応えお礼の挨拶に立たれた先生に、植田ゼミOBから、いっせいにリクエストがあがる。
 「デク坊(?)」を抱えて登場した植田先生は。「男はつらいよ」のB面にある歌を披露。続けて「植木等シリーズ」を10曲。最後は、「ドーンとなった花火はきれいだね」と会場に花火ならね「紙吹雪」が舞い上がった。
 植田ゼミ生は、どうやら「植田出版学」は忘れても、「この花火」に励まされて卒業していったようであった。
 なお、Moon Youn Ju さんも蔡星慧さんも。この植田ゼミで博士号を取得された植田先生の「愛弟子」である。

*     *     *

 ともあれ、楽しい一日であった。Moon Youn Ju さんとは、5月に開かれるソウルでの「国際フォーラム」での再会を誓って、会場を後にした。


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